- 新型コロナの感染防止策で客席数が激減
- 公演回数を増加させる施策
- Live配信チケットの販売施策
- イベントの新しい形のヒント
猛威を振るった新型コロナウイルス(以下「新型コロナ」と略)。全国的に緊急事態宣言が解除されましたが、感染防止のためにソーシャルディスタンスをはじめ各業界でガイドラインが発表されています。PAC制作編集局は、小劇場で新型コロナの感染防止策を実施した場合のシミュレーションをしました。客席数が激減した状態の打開策として、公演回数の増加とLive配信を実施することでの売上を検証します。
さらに、エンタメ&サブカルジャンルのイベントで、新しい形のヒントになる話題をお知らせします。
小劇場の客席数は約70%減少
新型コロナの感染防止策・ソーシャルディスタンスを小劇場で行った場合、客席数がどのように減少するかをシミュレーションしました。使用できる客席は、1席の間隔、1列の間隔を開けて残った数になります。通常、78席使用可能な小劇場でソーシャルディスタンスを実施した結果は、図の通り約70%の54席が使用できなくなりました。
※図中の白い座席が使用可能


客席数激減を補うための施策
ソーシャルディスタンスによって激減した客席数。必然的に1回の公演で得られる売上は、このままでは約70%減ってしまいます。この売上減を補うために、1日の公演回数を増加させる、Live配信で売上を得る、2つの施策をシミュレーションしました。
公演回数を増やす

新型コロナ対策で、時差出勤、時短勤務、シフト勤務が継続されることを前提に、早朝から24時まで営業した場合になります。1回の公演を観るための料金はそのままにシミュレーションした結果、売上は約30%減の結果です。
Live配信で売上を補う
新型コロナで話題となった無観客Live。ソーシャルディスタンスで激減した客席数を補うために、Live配信チケットを販売する施策を導入します。このシミュレーションでは、劇場で観る場合とLive配信で観る場合を差別化するために価格差をつけ、激減した客席数・54席分をLiveチケット販売・54枚で補いました。結果として、1.5%ですが黒字になりました。
Live配信チケットの併売が標準化
公演回数を増やすのは現実的ではないでしょう。公演内容の企画から変更が必要であり、来場が見込めないマイナス時間帯も発生することが予想されます。
舞台や音楽ライブであれば、複数グループのショート構成で回数増加も考えられますが、Live配信チケットの併売を標準化するほうが妥当と考えられます。
新しい形を探す
新型コロナの感染防止が可能な環境で、エンターテイメント、サブカルチャーイベントを開催する場合、これまでの概念にとらわれず新しい形を探る必要があります。
屋外イベントへの転換
箱から屋外イベントに転換することで、新型コロナ防止策を行っても成り立つライブや舞台は可能になります。
ソーシャルディスタンスの距離を保って採算にのせられる来客数を集める屋外イベント会場。会場費によりますが、可能性が高い解決策です。
■屋外ライブのポイント
1.人同士の距離が確保できる広さ
2.広さに対する会場費の採算性
ドライブインシアター&ライブ
2020年6月20日 東京タワーで開催されるイベント「Do it Theater presents ドライブインシアター2020 東京タワー」は、シアタープロデュースチーム「Do it Theater」が展開するスペシャルイベント。来場できる車両台数は40台ですが、映画とアーティストライブをミックスした注目の取り組みです。
魅力ある新世界を
屋外イベントやドライブインシアター&ライブを例にあげましたが、VR(ヴァーチャルリアリティ)やドローンを活用した、これまでにない体験ができるイベントも企画次第で実現できるでしょう。新型コロナの影響で危機的な今だから必要とされる“魅力ある新世界”が、続々と形になることを願っています。
2020年6月9日
文:Yoshinori.Takayama