- イベント参加者が新型コロナに感染したら開催事業者へ損害賠償することもあり得る
- 各業界ごとの新型コロナ感染拡大予防ガイドラインを徹底する
- お客様へ感染予防策を具体的に明示する
- 感染予防策実施状況と感染リスクがあることを理解した上で参加に同意していただく
新型コロナウイルス(以下「新型コロナ」と略)による緊急事態宣言が解除され、休業要請、外出自粛も緩和されました。しかし、2020年6月24日、東京都で新型コロナの感染者数が55人確認されています。集団検査による発見は、軽症者、無症状病原体保有者を特定できる対策。この結果からみても、感染していながら普通に活動している方が存在することは事実です。
小規模イベントなど再開されていますが、感染した場合、イベント開催事業者の責任、参加者の責任はどうなるのでしょう?ここでは必要な対策を考察しています。
開催事業者に損害賠償!?
イベント開催事業者に対する新型コロナ感染の責任について、『朝日新聞デジタル』に興味深い記事が掲載されていました。この記事で解説されている内容を見ると、イベント開催事業者には“安全配慮義務”があるため、新型コロナへの感染とイベント参加の因果関係が証明できれば、感染したイベント参加者はイベント開催事業者に損害賠償を請求できるそうです。
コロナ禍にイベント開催 感染者が出たら責任問われる?『朝日新聞デジタル』
イベント開催事業者の充分な配慮とは?
Creative agency FABE union オウンドメディア『VraiUnDC.com』でもご紹介していますが、イベント開催事業者の充分な配慮の基準は、各業界団体が作成・提示している感染拡大予防ガイドラインが1つの基準といえるでしょう。
しかし、ガイドラインに沿って新型コロナ感染予防策を徹底した状況でも、参加者が感染した場合、損害賠償請求をされないとは限りません。
新型コロナウイルス対策|ソーシャルディスタンスだけでは防げない!|業種別ガイドラインと換気、空気清浄の徹底推奨『VraiUnDC.com』
参加者の自己責任同意が必要!?
長野県上田市にあるシアター「上田劇場」では、感染予防対策を徹底した上で、来場されるお客様に同意書を提示し、署名をいただく方法をとっています。
■自己責任同意のポイント
1.感染予防策実施内容を具体的に解説
2.感染予防策を徹底しても感染リスクがあることを明示
3.1.2.を理解した上でお客様が来場することを同意
ここでのポイントは、具体的に新型コロナの感染予防策実施内容を説明し、その上で感染しないとは限らないことを明示してから同意を得ていることです。
スタッフにも同意を得る
イベント開催事業者が感染予防策を徹底しても、新型コロナに感染している方がお客様にいれば、感染を完全に防げるとは限りません。
さらに、イベントを開催している事業者、スタッフにも感染の危険があります。
責任ある事業者はスタッフにも同意を得ることが必要でしょう。また、スタッフが同意できるだけの充分な対策をしていれば、お客様も安心できます。
新型コロナ対策「接触確認アプリ」
日常的な感染予防としての手洗い、うがい、マスクの使用は周知されていますが、新型コロナ対策「接触確認アプリ」が登場したのはご存知でしょうか?
新型コロナ対策「接触確認アプリ」は2020年6月19日に厚生労働省がリリースしたスマートフォンアプリ。開発目的は、もちろん新型コロナの感染拡大防止です。このアプリは、PCR検査で陽性となった人と接触すると通知される機能があります。
このアプリをダウンロードしておくことも、イベント参加者の自己責任範囲ではないでしょうか。
新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) COVID-19 Contact-Confirming Application「厚生労働省」
開催事業者も参加者も責任ある感染予防が必須
開催事業者はガイドラインに沿って感染予防策を徹底し、スタッフの安全確保が必要。そして、参加するお客様も日常的な感染予防が必要なときです。
責任を逃れるのではなく、責任を果たした上で、事業を再開することが重要といえるでしょう。
2020年6月25日
文:Yoshinori.Takayama